中科の支援で、スタートアップのユニコーンが産業の金の卵を産む鶏に変身

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「ユニコーン企業」も孤軍奮闘の時代は終わり─

中部科学園区が機能充実のスタートアップ拠点を大規模に整備し、イノベーションと産業転換を加速、「次のTSMCを育てる!」を目標に、ユニコーンが“金の卵を産む鶏”となるチャンスが広がっています。

若者の起業にとって、「資金」と「人材」は2大課題。ユニコーン企業はどうやって収益を生む“金の卵”企業へと変貌できるのでしょうか?

中部科学園区管理局の陳銘煌(チェン・ミンホアン)局長によると、2013〜2017年の間に90チームがイノベーション・起業奨励プログラムに選出され、うち8チームが優秀創業賞を受賞、23チームが会社を設立。また、インキュベーションセンターには新規企業64社が入居し、累計資本金は15億元に達するという成果を上げています。

プロジェクター光学モジュールを起点とした「台湾彩光科技(Taiwan Color Optics)」も、若者3人による技術起業の代表例。4月28日、中科管理局でのイベントに登壇した張永朋(チャン・ヨンポン)総経理と王志峰(ワン・ジーフォン)CEOが、自らの体験を語りました。

張氏によると、会社が黒字化するまで5年かかり、最初の3年間は「ボランティア状態」。生活はパートナーの支えでなんとか乗り越えたといいます。

そんな苦境の中、ある日突然、鴻海(ホンハイ)グループからの電話が。「郭台銘(テリー・ゴウ)!?詐欺電話かと思った」と当時の驚きを語ります。国際産業会議での発表が注目され、レーザー光源技術の実力が業界に知れ渡ったことがきっかけだったそうです。

実は鴻海自体は台湾彩光を直接知らず、日本の提携企業からの推薦によるものだったとのこと。現在、台湾彩光の技術は自動車ヘッドライト応用において、著名な自動車メーカーのサプライチェーンに入り、製品もまもなく量産段階へ。

台湾彩光科技によると、レーザー照明技術はヘッドライトやプロジェクターに限らず、長距離照明が必要な多くの場面に活用可能。特に、消防や警察用途に特化したドローンに搭載する探照灯として、プロ仕様のドローンメーカーから高い関心が寄せられているといいます。

警察や消防にとって、探照灯付きのドローンは犯罪抑止や夜間捜索・救助において大きな力となりますが、現在の探照灯は重量や消費電力の問題でドローン搭載が難しいのが現状。これを解決するのが、軽量・省エネ・高照度を実現する次世代レーザー照明です。

台湾彩光科技は、「素材ビジネスは台湾が最も得意とする分野。創業時の失敗で諦めるのではなく、優れた技術があればビジネスの価値を高めることができる」と強調。また、技術革新が経済転換のチャンスとなり、自身の価値向上にもつながると述べています。

苦しい創業時代を経て、張永朋氏と王志峰氏は、自らの経験をもとに若い世代へのエールを送ります。「会社の運営は100以上の家庭の生活を支えている。だからこそ、全力で取り組んでいる」としつつ、「社員は全員月給30K(3万台湾ドル)以上。22Kの時代じゃない!」と誇らしげに語りました。

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